もう卵は殺さない

もう卵は殺さない (マーガレットコミックスDIGITAL)
もう卵は殺さない (マーガレットコミックスDIGITAL)

タイトルと表紙の絵柄で購入。
ファンタジーやSF的な要素も含んだ少女漫画で、いろんな傾向の作品が一気に読めるのは良いかも。
白泉社で描いていても相性が良さそう。
でもどちらかというと少女漫画成分が強いので、やっぱりマーガレットなのかなあ。

表題作の『もう卵は殺さない』は、ものすごいどろどろの愛憎漫画かなにかと思ったら、そんなことはなく。
創作をする人と、生みだした物語の主人公それぞれの側面を描いたおはなしでした。
「自分のための創作」と「売るための商業作品」の葛藤みたいな要素を多分に含んでいて、創作をしているひとなら共感しやすいかも。

kindle本的な評価では、『移動』機能が設定されていなかったのが残念。
短編集なので、タイトルごとに一気に飛べるようにしておいて欲しかった。
後日にでもアップデートされると良いのだけど。

沼、暗闇、夜の森

沼、暗闇、夜の森 (百合姫コミックス)
沼、暗闇、夜の森 (百合姫コミックス)

少し前から、自分の感性に合う『百合』を探している。
しかし最初から両想いとか、幸せが約束されているような作品はどうも、好きではなく。
自分の期待する水準の作品というのは、そう多くない。

その点、この方の作品集は毒や棘も多分に含んでおり、今までに読んだなかでも特に自分好みだった。
「沼、暗闇、夜の森」に収録されている『魔少女』がお気に入り。
『下着通り』は、タイトル通り下着で通らなければならない道を通ろうとする百合カップルの話で、バカバカしいやりとりが面白い。
「パイを~」収録の作品も粒ぞろいだけれど、個人的には『スワコさんと宇宙旅行』のスワコさんという存在がとても印象的だった。

あと、この方の絵柄が凄くすき。
決して流行りの絵柄ではないし、どちらかというと古めかしい印象だし、全体的な作画も丁寧ではないけれど。
躍動感と色気のある描線が良い。
毒をもった少女の眼ヂカラは逸品。

乙女ケーキ・少年バンビ

乙女ケーキ (百合姫コミックス)
乙女ケーキ (百合姫コミックス)

タカハシマコ好きは未だ継続中。
『乙女ケーキ』は思春期百合。
『水色ノート』は男性向けロリエロ。
『少年バンビ』はひと癖ある少女漫画。
元々BL作家でBL作品も多いが、個人的にBLが苦手なので手を出していない。
しかし改めて並べてみると、引き出しの多い方だなあ…。

不思議なのは、どの作品を読んでもブレないなと感じること。
ギャグやコミカルが入るときは徹底的に明るいのだけれど、シリアスが入るときの突き放し感はかなり強い。
絵柄を見て「どんな話かな~」などと軽く読み始めた日には、はじめの数ページで崖に突き落とされるので油断ならない。
これはいったいなんなのだろう、と考えた時。
「鋭利」という表現は、まさにぴったりだと思った。

同性愛もペドフィリアも壊れた少女たちも。
甘い微笑を浮かべ、鋭利な刃物を手にし、その影にはらむ狂気を突きつける。

年季の入ったタカハシマコ好きのレビューを見つけた
まだkindle化されていない作品ももっと読みたいなあ。
そして読み手にここまで語らせる作家というのは、すごいな、と改めて思った。

ニコ 完全版

(ニコ)完全版 : 1 (アクションコミックス)
(ニコ)完全版 : 1 (アクションコミックス)

今でているタカハシマコのkindle作品は、BL以外すべて網羅したと思う。
個人的には「それは私と少女は言った」が好きなのだけれど、癖が強すぎる。
だから初めて読むというひとにタカハシマコの作品を勧めるなら、この「ニコ」かな、と思う。

表面的な物語は思春期の少年少女を描いた内容だが、分類するならSFだろうか。
少年少女の心の在り方を一刀両断し、毒を含んだ作品かと思えば、優しい視点で描かれる話もある。
いくつもの視点から描かれる『ニコ』という存在と、その背後に広がる世界。
結末に向けて集束する物語を追いかけているうちに、きっと、この作家世界に惹きこまれているだろう。

エオマイア

エオマイア : 上 (アクションコミックス)
エオマイア : 上 (アクションコミックス)

それは私と少女は言った」の、タカハシマコの過去作。
少女が主人公ではあるが、少女に特化した話ではない。
どちらかというとSF、ホラー要素のほうが色濃い。

深夜に眠い頭で読んだのを差し引いたとしても、物語が飛躍しがちで、感情移入しにくかった印象。
ただし作者の作品が持つ独特の浮世離れ感というか、厭世感は健在。
作者のほかの作品が気に入ったなら、読んでみても良いかも。

それは私と少女は言った

それは私と少女は言った
それは私と少女は言った

ある日本屋でこのタイトルを見て、「あ、読みたい」と思ったが、数分にらめっこして、結局買わなかった。
「今は買うべきではない」「たぶんそのうち、また縁がある」と思ったから。
そしてkindleでめでたく再会。迷うことなく購入した。

タカハシマコの描く少女は華奢で繊細。
ふわふわと髪がなびき、どの子も可愛らしい。
その外見と反比例するように、生々しい感情をはらんだ少女たち。
描かれるのは、サスペンスとドロドロの愛憎劇。
真実はあっけなく、納得できたかといえばそうではないのだけれど。

そう。少女たちはこういう生き物。
と、頷くには十分の作品。
この作品で、この作者がお気に入りになった。

おにいさまへ…

おにいさまへ…全39話視聴完了。
全部サン・ジュストさまにもってかれたわー!!
すっかりゴージャスな世界観の虜。

パイオニアLDC
発売日:2002-08-23

キャラは黒髪マリ子さまが大好き。
こんな愛すべき黒髪めったに居ない。
後半のサン・ジュストさまがかっこ良すぎてくやしい。
黒髪じゃないのにかっこ良くてくやしい。
セリフまわしがかっこよすぎてくやしいくやしい。

端的にいえば「耽美」「百合」の物語ですが、それ以上のいろいろを内包して、この作品はできあがっています。
本放送時に内容が理解できなくて、以降も何回か見るチャンスを逃していたのだけれど、出会うべき作品はやっぱり出会うタイミングがあるのだと思う。
しみじみ、見てよかった。
漫画版は結末が違うようなので、機会があればそちらも見てみたいなあ。

緑の公衆電話が出てきたり、家電話の子機を使っていたり、タクシーをフル活用していたり。
いろいろと笑撃の連続なので、そういう点でも、おすすめです。

見終わって、ああ、ウテナの下敷きには、この作品があるのだなあと感じました。
全体にわたって、かなり影響を受けているな、と。
無国籍風な世界観、海の見える学園の風景、廊下、ウテナがバスケをやっているのも、静止画を三度引いて見せる演出も。とにかく細部にわたって色々。

「つくるひと」は、それだけいろいろなものを見ているんだなあと、しみじみ思った。
私が見ているものも、私が知らないだけで、もっと昔の作品を見ただれかが作品に織りこんで。
創作は、そうやって連綿と受け継がれるなにかでもあるのかもしれない。